概要
核磁気共鳴 (NMR)
法は、生体分子の立体構造のみならず、ダイナミクスや結合親和性、結合速度など、その機能を理解するための重要かつユニークな構造情報を与えてくれます。一方、そのような構造情報をNMRスペクトルから抽出する際には、複数の測定を行い、その結果を複数の解析プログラムを組み合わることで統合して解析する必要が出てきます。しかしながら、自分の目指す解析の実現のために、どのプログラムをインストールすればよいのか?また実際、インストールするとしてもどのような環境で使えるのか?ライブラリーは?など解析プログラムの使用に至る道のりは専門家にとってもわかりにくく、非専門家からすると絶望的に遠い道のりに感じられる現状があると思います。このことはNMR技術の普及と発展を限定的なものにする要因の一つともなっています。
そこで本セミナーでは、オンラインで260種類ものNMR関連ソフトウェアにアクセスできるNMRbox(https://nmrbox.nmrhub.org/)を取り上げ、運営からアカデミア・非アカデミアを問わずすべての機能にアクセスできる講習会限定のアカウントを提供してもらう形で、広く皆さんにNMRboxの使用を体験いただく“体験型ワークショップ”を開催します。
初日は比較的初心者向けの内容とし、2D
NMRデータをどのようにアップロードし、プロセスし、様々なソフトウェアを活用しながら、解析結果を得るのかを、化学シフト摂動法の線形解析を取り上げてNMRbox上で体験いただきます。
2日目は応用として非線形サンプリング(NUS)に焦点を絞り、NUS測定の実際と、NMRboxのもつ強力な計算機群を使ったNUS測定データの処理方法を、解説を聞きながら体験いただきます。ぜひ皆さんのご参加をお待ちいたします。
In this seminar, we will host a "hands-on workshop" using NMRbox (https://nmrbox.nmrhub.org/).
The first day will be geared towards beginners, covering the upload and processing of 2D NMR data, as well as a linear analysis of chemical shift perturbations. The second day will focus on applications, specifically Non-Uniform Sampling (NUS), where participants will have the opportunity to learn about the setup for NUS measurements and data processing methods through explanations and hands-on experience. A part of the workshop will be given in English.
プログラム(案)
2024年4月23日(火)
13:00~13:05 開会の挨拶 (栗栖源嗣 オンラインor ビデオ)
13:05~13:20 前回の振り返りと今回の趣旨説明(竹内恒)
13:20~14:20 Introduction of NMRbox (J. Hoch)[video; English session]
休憩
14:30~16:30 体験型ワークショップ:NMRboxを使ったNMR解析の実際(世話人一同*)
16:30~18:50 Optimizing NMR techniques and data collection
to harness the potential of high-field magnets
(H. Arthanari)[English session]
懇親会
2024年4月24日(水)
9:00~10:00 NUS測定法の実際(H. Arthanari; 世話人一同*)
9:50~10:40 hmsIST/SMILEを用いたNUSデータのNMRbox上での再構成(H. Arthanari; 世話人一同*)
11:40~11:50 閉会の挨拶(宮ノ入 洋平)
*ワークショップ世話人
久米田博之(北海道大);齋尾智英(徳島大);竹内恒(東京大);田巻初(大阪大)
日比野絵美(名古屋大);宮ノ入洋平(大阪大);八木宏昌(旭化成ファーマ)
主催
大阪大学蛋白質研究所
共催
PDBj, NMRプラットフォーム, 日本生物物理学会, 次世代NMRワーキンググループ
後援
BINDS 創薬等先端技術支援基盤プラットフォーム